遺産分割協議
遺産分割についてのお悩みは弁護士へ
1 遺産分割についてのさまざまなお悩み
相続が発生したあと、遺産分割を行うにあたって、さまざまなお悩みが生じることと思います。
たとえば、
「まずは何をしたらよいのだろう・どのような流れになるのだろう」
「他の相続人がわからない・ずっと連絡をとっていない」
「どんな財産があるかわからない」
「必要な書類がたくさんあって難しい」
「遺産分割調停や審判は、どうしたらよいのだろう」
「特別受益や寄与分の主張をしたい」等々・・
このように、遺産分割についてはさまざまに検討すべき問題があり、事務処理も複雑になりますので、早い段階で、ぜひ弁護士にご相談していただきたいと思います。
2 弁護士に相談=裁判沙汰?
弁護士に相談することについて、身内でもめたくない、訴訟はいやだといった理由で、ためらう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、弁護士が何でも裁判をするというわけではありません。
まずは、ご相談によって、おかれている法的状況などを整理し、見通しをもつことができるので、それだけでも気持ちが軽くなるかもしれません。
また、弁護士に交渉を依頼することで、冷静に合理的な話し合いをすることができ、調停や訴訟に至らずとも、早期に解決することも多々あります。
むしろ、調停や訴訟での展開がわかるからこそ、それを踏まえた提案ができるともいえます。
そのほか、相続手続き全般について、期限を守りながら進めていく必要があるため、やはり早い段階で相談されることをおすすめします。
3 遺産分割について弁護士に依頼できること
⑴ 調査
遺産分割を進めるには、まずは、資料の収集が必要となります。
遺言書の有無についての調査、戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)の取得、財産調査(金融機関の残高証明や取引履歴、不動産登記簿謄本や名寄帳の取得等)のほか、どのような範囲で調査するのかについて、方針を弁護士と相談することがよいでしょう。
もし既に持っている資料があれば、より具体的な打合せができるので、できるだけ資料を揃えていくのがよいと思います。
⑵ 遺産分割協議
そもそも居場所がわからない、連絡をしたことがない相続人などに対しては、連絡をとることすら困難です。
また、日頃交流がある相続人同士であっても、相続財産のようなまとまった金額の分配について話し合いをする機会はなかなかないかもしれません。
このような場合に、弁護士に対し、どの遺産を誰がどのように取得するか、交渉を依頼することができますし、話合いがまとまればもちろん、遺産分割協議書の作成もしてもらえます。
⑶ 遺産分割調停・審判
遺産分割協議でまとまらない場合、家庭裁判所において調停・審判により解決を図ることになります。
弁護士は、これらの手続きで、手続代理人として対応することができます。
遺産分割がまとまらないとどうなるのか
1 遺産分割がまとまらなかった場合のリスク
遺産分割がまとまらないと、誰がどの財産を取得するかを決めることができず、預貯金の解約や不動産や有価証券などの名義変更などができず、売却などの処分を行うこともできません。
そうすると、せっかく財産があるのにそのまま放置されることで、権利が有効活用できないまま消滅したり、権利関係が複雑化したりして、ますます解決が困難となってしまいます。
そればかりか、たとえば放置していた空き家が崩れて第三者に損害を与えた場合など、相続人の一人として責任を負わなければならない事態も発生しかねません。
2 遺産分割をまとめるにはどうするのか
前記1のような事態を避けるためには、なるべく早い段階でまとめることに、相続人全員にとってメリットがあるといえます。
遺産分割は、次のような流れで進めていきます。
⑴ 遺産分割協議について弁護士に依頼する
相続人同士での遺産分割協議がまとまらなさそうな場合には、早めに弁護士に依頼して代理人として交渉してもらうか、アドバイスをもらうなどして、分析・整理しながら進めるとよいでしょう。
⑵ 家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる
それでも遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。
遺産分割調停は時間や労力がかかりますが、調停外の協議ではどうにも進まないような場合でも、1か月に1回程度、期日が設定されますので、進めていくことができます。
調停では、裁判官と調停委員が関与して、中立公正な立場で相続人それぞれから言い分を聞いて調整し、話し合いで解決できるようにあっせんします。
話し合いにより調停成立となれば、そのとおりに遺産分割が行われることとなります。
⑶ 遺産分割審判への移行
調停が不成立となった場合には、審判手続に移行し、裁判所が判断を示すことになります。
家庭裁判所は、事実の調査や証拠調べを行い、遺産分割に関する審判を行います。