公正証書遺言を作成する際の流れ
1 公正証書遺言の利点について
公正証書遺言とは、証人2人の立会いの下、遺言者が公証人に口授し、公証人が遺言者の真意を文章にまとめ、遺言者、証人、公証人が署名押印して作成する遺言のことを言います(民法969条)。
証人や公証人とともに行うため、無効となるおそれが少なく、原本は公証役場に保管されるため、破棄や隠匿のおそれもありません。
加えて、自筆証書遺言と異なり、家庭裁判所で行う検認の手続きを経る必要がありません(民法1004条2項)。
以下では、このような公正証書遺言を作成する際の流れを、簡単にご説明していきます。
2 ご希望の内容を確認する
まずは、弁護士に公正証書遺言の作成をご相談いただければ、弁護士は相談の中で、相続の全体像を把握するため、相続人の数や相続財産の概要などをお伺いします。
併せて、お聞きしたお話を踏まえて、どのような内容の遺言をご希望されるかについても、具体的にお話をお伺いいたします。
3 資料の収集と遺言書案の作成
公正証書遺言の作成には、戸籍謄本はもちろん、固定資産評価証明書や不動産の登記簿謄本、預貯金等の通帳またはそのコピー等、様々な書類が必要となります。
また、公正証書作成のための本人確認書類として、印鑑登録証明書と実印等も必要となります。
参考リンク:日本公証人連合会・公正証書遺言をするには、どのような資料を準備すればよいでしょうか?
これらの資料をもとに、ご希望を踏まえて、遺言書の文案を作成させていただきます。
その後、文案に対する修正点をお伺いしながら、適宜修正を加えていき、最終的な遺言書の文案を作成します。
4 公正証書遺言の作成当日
公正証書遺言の作成当日には、証人2名とともに、公証役場へ行きます。
全員が揃っているところで、原本と正本、謄本を読み合わせて、遺言者の意思を確認し、間違いがなければ、原本に遺言者と証人2名が署名し、遺言者は実印を、証人2名は認印を捺印します。
その後、公証人が原本、謄本に署名をし、これに職印を押して割り印したものが交付されます。
作成した公正証書遺言の原本は、公証役場で保管されます。
これで、公正証書遺言の作成は完了です。
5 公正証書遺言の作成後
公正証書遺言は、遺言をした人が亡くなって遺言の効力が生じるまでは、遺言者本人以外の閲覧が制限されます。
遺言をした人が亡くなってからは、推定相続人や受遺者、遺言執行者といった利害関係人は、公正証書遺言の謄本の交付を請求することができます。
また、公正証書遺言は一度書いたら撤回や変更ができないということはなく、いつでも撤回や変更ができます。
そのため、「もしかしたら遺言を作ってもそのうち心境が変わるかも・・・」と心配する必要はありません。
遺言公正証書の謄本の請求方法や、遺言の撤回や変更について、日本公証人連合会のホームページにも詳細が掲載されていますので、ご参照ください。
参考リンク:日本公証人連合会・遺言